別記事「FXで負ける仕組み-典型的なパターン4選」にて、FXで負けてしまう理由を考察しました。この考察ができるのは、過去のトレードが分かっているからです。
ということは、「自分のトレードを分析して勝つぞ!」と考える場合には、最初に、過去のトレードをまとめる必要があります。しかし…
- データをまとめるのが大変
- 分析するのも大変
というわけで、ハードルが高いです。
そこで、簡単・確実に分析できる方法はないのか?ですが、そのツールを無料で公開しているFX会社があります。3社について、内容を見ていきましょう。
自分のトレードを分析するツール
- DMMFX
- セントラル短資FX
- マネーパートナーズ
いずれも、取引データを自動で集計してくれるので、ユーザーは特段何もする必要はありません。分析ページにアクセスするだけでOKです。
3社のツールを紹介した後、ツールを使う際の注意事項を確認しつつ、どのツールが最も良さそうか、検討してみましょう。
DMMFX「取引通信簿」
DMMFXの取引通信簿のイメージは、下の通り、グラフを多用して分かりやすい作りになっています。
トレード全体の分析
上は、DMMFXでの取引全体について分析した画面です(任意の期間について表示可能)。上のグラフですが、以下の内容です。
折れ線グラフ
日々の損益推移を示しています。
銘柄数量比率(%)
銘柄とは、通貨ペアを指します。自分がどの通貨ペアを取引しているか?というのは感覚的に分かっている場合もあるでしょうが、数字で確認できます。
感覚と実際の数字が異なる場合もありますので、重要なデータです。
売買数量比率(%)
買い取引の数量と、売り取引の数量の比率です。成績が良くない場合、相場状況と売買比率が合っていない可能性があります。
例えば、「現在は全体的に下落トレンドなのに、買い取引の比率がとても高い」といった具合です。
相場に沿っていないと分かれば、トレードを修正できます。
利益金額比率(%)
どの通貨ペアで利益を多く出しているか?が分かります。
自分が好きな通貨ペアの利益が最も多い、とは限らないでしょう。少し苦手意識がある通貨ペアが健闘しているなど、新しい発見があるかもしれません。
損失金額比率(%)
逆に、大きな損失を出している通貨ペアは何か?を示す項目もあります。大きな損を出している通貨ペアの取引を控えると、効果的かもしれません。
自分が好きな通貨ペアの成績が悪い、という場合もあるでしょう。
損益数量比率(%)
利食いできた取引、損した取引について、その数量の比率を確認できます。バランスがひどいことになっていれば、何か対策が必要だと分かります。
そして、右側の棒グラフは、「買いトレード損益」「売りトレード損益」を示します。
「買いトレードでは、損失金額がとても多い」と分かれば、売りを中心にしてみるなど、対策を考えることができます。
通貨ペア別の分析
取引全体だけでなく、通貨ペア別の分析もできます。
買い取引が多いのか、それとも売りが多いのか。買いと売りでは、どちらの成績が良いのか。バランスを確認できます。
どちらか片方に偏っていても、相場のトレンドに沿っているなら、特に問題はないでしょう。
さらに、グラフだけでなく、システムトレードでおなじみの項目を用いた分析結果も並んでいます。具体的には、以下の通りです。
上の画像では、52回取引して勝率は6%しかないという極端な例です。しかし、損益合計は13万円弱のプラスです。
最終的に損益がプラスなら成功と言えますが、ほとんど勝てないトレードなので、この成績で取引するのは精神的に厳しそうです。
以上の通り、DMMFX「取引通信簿」では、自分のトレードを様々な視点で確認できます。
セントラル短資FX「パーソナルレコード」
セントラル短資FXでは、損益状況を時系列でグラフ化したり、下の表のように個別項目を数字で確認できたりします。
分析対象期間は、自分で設定できます。日ごとの分析の場合は最大2カ月間、月ごとの分析の場合は、最大3年間で指定できます。
分析できる内容
確認できる内容は、下の項目です。それぞれの項目について、「買い」「売り」「合計」の3種類を確認できます。
- 取引回数
- 利益回数
- 損失回数
- 勝率(%)
- プロフィットファクター
- 損益(pips)
- 総利益(pips)
- 総損失(pips)
- 最大利益(pips)
- 最大損失(pips)
- 平均損益(pips)
- 平均利益(pips)
- 平均損失(pips)
- 平均保有時間
- 最大ドローダウン(pips)
- スワップ損益(円)
全体的な傾向を把握することは可能ですが、通貨別の分析がありません。さらに詳しく調査したい場合は、取引記録を自分でダウンロードして分析することになりそうです。
マネーパートナーズ「トレードレポート」
マネーパートナーズは、月間約定回数が30回以上の場合に、毎月1日に先月分のレポートを閲覧可能になります。
1か月に30回ということは、スキャルピングまたはデイトレードをするユーザーが対象でしょう。スイングトレードやポジショントレードだと、月間30回以上の取引は難しいです。
分析レポートの特徴
トレードレポートの特徴は、20ほどの項目を点数化し、それを五角形のレーダーチャートで示してくれる点です。どこが良くてどこが悪いのか、瞬時に分かります。
上の例ですと、「滞空時間得点」が低いと分かります。滞空時間とは、ポジション保有時間です。極端に長い場合や短い場合が混在していてトレードに安定感がないと、評価が低くなる模様です。
もう一つ、トレードレポートには大きな特徴があります。それは、アドバイスです。
どれだけ数字やグラフで分かりやすく示してくれても、それを読み解くには一定のスキルが必要です。しかし、FXをする人は全員そのスキルを持っているか?と言えば、そんなことはないでしょう。
数字を読み解くのは好きじゃないという人も多いはず。そこで、アドバイスを文章で示してくれます(下は、例)。
数字よりも文字の方が得意だという場合、使い勝手が良いでしょう。
分析ツールを使う注意点
なお、上の分析ツールを使うにあたり、重要な注意点があります。それは、「1つの口座で、複数のトレード手法を同時に使わない」ということです。
例えば、1つの口座でデイトレードとスイングトレードをするとしましょう。
デイトレードとスイングトレードでは、様々な点で大きく違うはずです。例えば、ポジション保有時間、取引数量、損切りや利食いの幅など。
ユーザーにはその違いが分かっても、分析ツールには分かりません。すると、ツールは変な評価を下す可能性があります。
「取引ごとに、数量や損益が違いすぎるからダメ」といった具合です。これでは、正確な分析ができません。
適切に分析してトレードに生かすには、「1トレード手法につき、1口座を使う」ことを心がけます。こうすれば、手法ごとの成績の差が良く分かります。
どの分析ツールが最も使い勝手が良いか
では、上の3つのうち、どれが最も詳細に分析できるか考えてみましょう。何を重視するかで順位が変わってきますので、評価例の1つとしてご覧ください。
使い勝手が良いのは、DMMFXだと言えそうです。理由は、下の通りです。
- 通貨ペア別に分析できる
- 分析期間を自由に設定できる
- グラフが多彩で分かりやすい
通貨ペア別
全体としては好成績だけれど、特定の通貨ペアは成績が悪いという場合があるでしょう。逆に、全体はダメだけれど特定の通貨ペアは好成績、という例もあるでしょう。
それが分かると、メリットが大きいです。成績が悪い通貨ペアの取引を見送ったり、好成績の通貨ペアに集中して取引したりできるからです。
分析期間
分析期間を自由に変えることもできますので、チャートと突き合わせると良さそうです。
例えば、円を含む取引が多いとします。そして、全体的に円高だった期間の成績を見ます。次に、全体的に円安だった期間の成績を見ます。
この2つを比較すると、何か見えてくるかもしれません。円安トレンドの時は好成績で、円高だとダメだという場合、円安時のトレードは現状維持で、円高になるときに気を付けることができます。
こういった分析結果を、グラフで視覚的に把握できます。