チャート分析入門
相場分析を始めようトレードの根拠をチャートから見つけ出す
チャートを眺めて将来の値動きを考えることを、チャート分析と呼んだりテクニカル分析と呼んだりします。
株式投資では、株の価格をグラフ化した「株価チャート」がありますが、FXで使われるチャートとは、為替レートの動きをグラフ化したものです。
FX初心者からベテランまで、多くのトレーダーがこれを見て、値動きの特徴を見つけようと努力します。
では、どのようにして相場の値動きを分析するのか、確認していきましょう。
チャート分析とは
値動きの特徴というのは、例えば以下の通りです。
- トレンド相場:為替レートが一定の方向に動き続ける
- レンジ相場:一定の範囲で上昇・下落を繰り返す
- 値ごろ感:今の為替レートは高いのか安いのか
また、過去の値動きを分析し、一定のパターンを見つけてトレードの足がかりにすることも可能です。
勘に頼ったトレードをするよりも、トレードの根拠を見つけてタイミング良く売買するほうが、勝率が高くなります。そのために行うのがチャート分析です。
チャート分析は有効か
では、実際のところ、チャート分析は有効でしょうか。
有効ならば、積極的に相場を研究することになります。一方、有効でないならば、いくら分析したところで無駄な作業です。別の方法を考えたほうが良いということになります。
時折、大学の先生などで、チャート分析を完全否定する場合があります。その一方で、大きく資産を増やすトレーダーも存在します。
この両極端な状態を、どのように理解すれば良いでしょうか。
結論から先に書いてしまうと、この2つの立場は、両方とも正しいです。すなわち、チャート分析で将来なんて見えないし、かつ、資産を増やすことができます。
何が言いたいかと言えば、「特定の場合に、チャートで将来の値動きを読める」です。
チャートで値動き全体を読もうというのは、無理な話です。それができるなら、1日で億万長者になれます。
そうではなく、滅茶苦茶な値動きをしているようにしか見えなくても、ある特定の時刻、あるいはある特定の値動きをした場合に限って、近い将来の値動きが分かる、ということです。
トレードで資産を増やせる人は、その貴重なタイミングを狙ってトレードします。
ただし、その貴重なタイミングで取引しても、勝率は100%ではありません。読んだ結果が当たることもあるし、外れることもあります。しかし、特定の場合には、比較的高い確率で読むことが可能です。
「比較的高い確率で」はどのくらいの数字か?と疑問に思うかもしれません。しかし、この数字を出すことは困難です。
というのは、チャート分析手法や相場状況によって変化するものだからです。
分析手法が乱立する理由
以上の通り概観しますと、チャート分析手法が世の中に数多く出回っている理由が何となく分かるかもしれません。
全ての相場状況で法則性やパターンを見つけ出し、未来を完璧に予想できる手法はないけれど、特定の状況で読めるという手法ならば、あります。
そして、その「特定の状況」は千差万別ですから、それぞれの状況を分析するのが得意な手法が乱立しているということです。
チャートの種類
ところで、みなさんがチャート分析という言葉から連想することは何でしょうか。
- ローソク足
- トレンドライン
- 移動平均線
- ディスプレイに意味不明な線がたくさん
- 売買シグナルに頼ってトレードしたい
- 勝てるパターンが見つかりそう
- 難しい、面白そう・・・etc
人によって連想することは大きく異なりますが、ここでは、チャートの基本であるローソク足から紹介します。
FX初心者が、はじめに知っておくべきチャートの一つです。
ローソク足
下のチャートは「ローソク足」という相場独特の方法を使って描いています(FXプライムbyGMOから引用)。
「ローソク」とは何だ?ですが、蝋燭(ろうそく)のことです。
チャート内の小さな長方形一つ一つを見ると、ろうそくのように見えることから、そう呼ばれます。
ローソク足はチャートの代表格であり、上昇を意味する「陽線」と下落を意味する「陰線」で構成されています。
陽線は「買い勢力が売り勢力よりも強い」、陰線は「売り勢力が買い勢力よりも強い」ことを示します。
ローソク足の読み方
ここで、基本的なローソク足の読み方を確認しましょう。下の図で、左右は為替レートの動き、真ん中はローソク足を示します。
同じローソク足でも、値動きは異なる様子が分かります。
1日の値動きをローソク足で表現するとしましょう。いわゆる「日足」です。
上の図で一番左の赤丸は、1日で最初の為替レートです。その後、為替レートはグニャグニャと動き、最終的に、どこかの為替レートで1日が終わります。
- 最初の為替レート:始値(はじめね)
- 最も高値のレート:高値(たかね)
- 最も安値のレート:安値(やすね)
- 最後の為替レート:終値(おわりね)
終値が始値よりも高い場合、陽線と呼びます(始値と終値の間の太い部分は、白で塗りつぶすことが多い)。
逆に、終値の方が始値よりも低い場合は、陰線と呼びます(始値と終値の間の太い部分は、黒で塗りつぶすことが多い)。
黒というところが、いかにも「価格が下がった…」というイメージを与えています。
下は、陰線になる場合の為替レートの動きを示しています。
ローソク足のメリットとデメリット
ここで、ローソク足のメリットとデメリットを簡潔に確認しましょう。
メリット:情報量が多い
ローソク足は、その情報量の多さに特徴があります。一つのローソクで、始値・高値・安値・終値の4種類を表示するためです。
そして、その組み合わせが多彩になることを利用して、チャート分析も盛んにおこなわれています。
デメリット:読むには訓練が必要
その一方で、ローソク足を使いこなすには訓練が必要だ、というデメリットもあります。日常生活でローソク足に出会うことは、ほぼないでしょう。
相場特有です。
ということは、ローソク足の読み方は、自然に身に付きません。ある程度の勉強と経験が必要だということになります。
その他のチャート
チャートには、ローソク足のほかにも、いくつかの種類があります。このようにいくつもの種類があるのは、やはり「値動きの特徴を見つけようとした結果」です。
例として、さらに2つご紹介しましょう。
ラインチャート
ラインチャートは、為替レートの終値を結んだ折れ線グラフです。ローソク足が4つの値(始値、高値、安値、終値)を表示するのと比べますと、明らかに情報量が少ないです。
しかし、とても見やすいというメリットがあります。
ローソク足を読むには、ある程度の勉強と経験が必要でしょう。しかし、ラインチャートは特段の勉強をしなくても理解できるのがメリットです。
情報量が少なくて読みやすいことの裏返しとして、チャート分析をするには不十分だというデメリットがあります。このため、何か別の分析手段を併用する必要があります。
よって、相場の世界では、あまり人気がないようです。
平均足
平均足とは、ローソク足を改良したものです。ローソク足は情報量が多いですが、読み方が難しいという難点があります。
そこで、小学校で習った平均の計算方法を採り入れたのが、平均足です。
平均足の特徴は、「陽線や陰線が連続して発生しやすい」ことです。下のチャートを見ますと、陽線や陰線が連続していることが分かります。赤色は陽線、青色は陰線であり、トレンドが分かりやすいです。
ただし、平均足はトレンド相場に強い一方、レンジ相場の分析は得意でないというデメリットがあります。
全てにおいて完璧なチャートは存在しないというのが、難しい点であり、また興味深い点です。
インジケーター
その他、為替レートの数字を使って何らかの指標を作り出し、それを基準にして売買チャンスを探そうという分析もあります。
その指標を、インジケーターと呼びます。
インジケーターは、テクニカル指標と呼ばれることもあります。良く知られたテクニカル指標の一つに、移動平均線があります。
こうしてチャートを分析した結果、値動きの特徴が見つかれば大チャンスです。
「×××という状況になったら、為替レートは円安になる(または、円高になる)。」これが事前に分かっていれば、売買ポイントも明確になり大きな利益を期待できます。
この大きな利益を目指して、世界中のトレーダーが日々努力しています。
なお、インジケーターは、2種類に分けられます。以下の通りです。
トレンド系
・トレンド相場の分析が得意
・レンジ相場の分析は苦手
オシレーター系
・レンジ相場の分析が得意
・トレンド相場の分析は苦手
よって、チャート分析をする場合には、適材適所も考える必要があります。トレンド系を使ってレンジ相場を考えても、外れてばかりで面白くないかもしれません。
一方、適材適所でチャート分析ができれば、適切にトレードができる可能性があります。
世の中には、チャート分析手法が無数にあります。そのすべてを使いこなせるようになる必要はありません。特定のチャート分析手法を用いて、様々な相場を分析していきます。
そして、自分が選んだチャート分析手法で相場が読めない場合は、無理して読もうとせず、得意な時が来るまで待つことも大切です。
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