インジケーターとは-FXで売買判断を支援するグラフ
トレードをするには、通貨ペアを買うか売るかします。では、どちらにしましょうか。適当に取引していては、サイコロを振るのと同じで単なる運になってしまいます。
ここで登場するのが、チャートです。下は、ユーロ/円の日足です(マネーパートナーズから引用)。
ローソク足チャートを見ると、数多くの情報が分かります。しかし、ローソク足だけでは良く分からないかもしれません。
ここで登場するのが、インジケーターです。
インターネットで探すと、数十種類程度を探すのは簡単です。あまり知られていないインジケーターを含めますと、その数はどんどん増えていきます。
では、どのインジケーターを使えばよいのでしょうか。
よく利用されているインジケーターを中心に、一つ一つ確認していきます。
インジケーターの種類
インジケーターとは、トレードをいつ開始すべきか、いつ終了すべきかを分かりやすくするために、為替レートの数字を加工して作ったグラフです。
下は、先ほどのチャートに2種類のインジケーターを加えたものです。
ローソク足に重なっている2本の線は、移動平均線と呼ばれる線です。下側の2本の線は、RSIと呼ばれるものです。
トレンド系とオシレーター系
ちなみに、上のチャートを見ますと、2つに分けて表示されています。すなわち、ローソク足に重ねて表示されるものと、下側に別枠を作って表示されるものです。
この分割には、理由があります。トレンド系とオシレーター系を分けて表示するためです。
トレンド系とは
トレンド系とは
為替レートのトレンド判断が得意なインジケーターを指します。すなわち、「今は上昇傾向だから買いですよ」「下落傾向だから売りですよ」という示唆を出してくれます。
トレンドに沿った動きをしますから、ローソク足に重ねて表示すると分かりやすいです。実際に、そのように表示されます。
また、トレンドに沿って売買することを「順張り」と言います。
トレンド系のインジケーターは、文字通りトレンド相場が得意です。一方で、トレンド以外の相場分析を苦手にしています。
オシレーター系とは
オシレーター系とは
為替レートの行き過ぎを判断するインジケーターです。すなわち、「十分高くなったから、これから下落する可能性がありますよ」「下落が続いたから、そろそろ上昇ですよ」という示唆を出します。
このオシレーター系ですが、(種類によって異なるものの)0%~100%といった数字で表示されます。
100%(上側)に近ければ近いほど、為替レートは高すぎる、逆に0%(下側)に近ければ近いほど、為替レートは安すぎるという示唆になります。
この場合は、ローソク足に重ねず、別枠でグラフを見た方が分かりやすいです。実際に、そのように描かれています。
なお、もう十分高くなったから売るという場合、今までは上昇傾向だったということを意味します。上昇傾向なのに、売り目線で考えています。
このような取引を「逆張り」と言います。
オシレーター系のインジケーターは、トレンド以外の相場を得意とします。トレンド相場は得意としません。
2つのインジケーターの使い分け
以上の通り、トレンド系とオシレーター系は機能が異なりますから、使い分けが重要になります。
チャートを見ながら、どのように使い分けるべきなのかを確認しましょう。
トレンド系インジケーターの使い方
トレンド相場でトレンド系インジケーターを使った場合の成績を確認しましょう。下のチャートの通りです。
上のチャートでは、2本の移動平均線を使っています。左側矢印の赤丸部分で、いわゆるゴールデンクロスが出現しました。買いサインです。
ここで買ったとしましょう。そして、右側の矢印部分で利食い決済したとします。
上のチャートの決済位置は、いわゆるデッドクロスです。デッドクロスは、上昇トレンドの終了(または下落トレンドの開始)を示唆するとされます。
上の取引内容を数字で書きますと、下の通りです。
- 買値:114円台後半
- 決済:122.50円くらい
- 利幅:8円(800銭)くらい
特に、大相場が出現するときにトレンド系インジケーターを使うと、好成績が出る傾向にあります。
上の例ほどでなくても、トレンド相場で使うと、相性良く機能しやすいです。
ところが、残念ながらトレンド系インジケーターが機能しづらい場面があります。それは、トレンド以外の相場です。
上のチャートは、レンジ相場のようになっています。すなわち、2つの移動平均線が絡み合うように動いています。
この場合、ゴールデンクロスで買ったとしても、すぐにデッドクロスになってしまい、結果として損切りになってしまいます。
上のチャート中ほどに、赤丸を付けました。ゴールデンクロスを示します。この時の為替レートは、赤色矢印の先の部分です。ここで買ったとしましょう。
そしてその後、黄色丸部分でデッドクロスが出現してしまうのですが、デッドクロスが出た時の為替レートは、黄色矢印の先部分です。
そこで決済すると、損切りになってしまいます。
トレンド系インジケーターは、トレンド相場で使うべきだと分かります。
オシレーター系インジケーターの使い方
オシレーター系インジケーターについても、同様に確認しましょう。
上は、RSIと呼ばれるものです。大雑把に解説しますと、以下の通りです。
- 数字が大きくなったら、下落示唆
- 数字が小さくなったら、上昇示唆
どこまで数字が大きくなったら下落示唆か?というのは、決まりはありません。使う人次第ですが、概ね70~75以上になったら下落示唆とされます。
逆に、RSIが25~30くらい以下まで下落したら、上昇示唆とされます。
上のチャートは、トレンド相場ではありません。どちらかと言えば、レンジ相場です。オシレーター系インジケーターは、こういう相場を得意とします。
RSI表示画面(チャートの下側)に、赤丸と黄色の丸を描き、上に向けて矢印を引きました。
為替レートを見ますと、黄色の丸(買い示唆)のところから上昇しています。また、赤丸(売り示唆)から下落に転じています。
レンジ相場でRSIが見事にフィットすると、利食いを繰り返すことができます。
では、いつもRSIを使えば好成績か?ですが、残念ながらそういうわけでもありません。具体的には、トレンド相場の時です。
上のチャートの赤枠部分を見ますと、RSIが低い位置にあります。買い示唆なのですが、実際の為替レートを見ますと、下落を続けています。
この相場で買っていたら、含み損が大きくなったでしょう。
すなわち、オシレーター系インジケーターは、トレンド相場以外で使う方が良い、ということになります。
完全無欠のインジケーターは存在しない
以上の通り概観しますと、ある疑問が出てくるかもしれません。
インジケーターは種類がたくさんあるし、得意な相場や苦手な相場もありそうだ。選ぶのは大変だから、完璧なインジケーターが欲しい。
残念ながら、完璧なものはありません。その理由ですが、数多くのインジケーターが存在することから分かります。
仮に、完璧なものがあるとしましょう。勝率100%とまではいかなくても、高勝率です。
この場合、大勢がそれを使いたがるでしょう。他のインジケーターは、見向きもされません。
すると、見向きもされないものは人々から忘れ去られ、FX会社もチャートへの表示を止めるでしょう(使えるようにしておくだけで維持コストがかかるから)。
最終的には、その完璧なインジケーターが他を駆逐します。
ところが、現実は違います。相場は何百年も続いてきたのに、インジケーターは有名なものだけで何十もあります。
すなわち、完璧なインジケーターは存在しないことが分かります。
複数の組み合わせでチャート分析
ではどうするか?ですが、自分にとって使いやすいインジケーターを組み合わせて使うことになります。
この組み合わせですが、人によって好みが分かれます。よって、ウェブ上では「これが良いのでは?」という感じの手法が溢れかえっています。
問題は、その組み合わせや使い方は、ある人にとっては使い勝手が良くても、別の人にとっては良くないという例が、いくらでもあることです。
よって、「自分にとって最良の組み合わせは何か?」について、自分で調べていきます。
自分の好みというのは、他人には分かりません。よって、他人が提供してくれる情報を元にしながら、自分で実際に試してみることが大切です。
トレンド相場でもレンジ相場でも使えるインジケーター
なお、インジケーターの中には、トレンド相場でもレンジ相場でも使えるという例が存在します。例えば、ボリンジャーバンドです。
曲線がいくつも描かれている、不思議なインジケーターです。これを使いこなすには訓練が必要ですが、トレンド相場でもレンジ相場でも使えるのがメリットです。
複数のインジケーターの組み合わせを考えるのが大変だという場合、このようなインジケーターから勉強するのも、良さそうです。
ローソク足が主人、インジケーターは従
最後に、大切な点を確認しましょう。それは、インジケーターは為替レートを加工して作ったグラフであるという点です。
為替レートそのものは、ローソク足に表現されています。
何が言いたいかと言えば、「ローソク足が主であり、インジケーターは従である」ということです。
これを理解していないと、「インジケーターは上昇を示唆しているのに、為替レートは下落した。これはおかしいのではないか?」という考えに陥ることがあります。
この考え方は、「インジケーターが主であり、ローソク足が従である」となっており、思考が逆転しています。
ローソク足を軸にして考えて、参考資料としてインジケーターを使う。そのような考え方が良さそうです。
主従を明確にしていれば、インジケーターの勝率が100%でなくても、すんなりと受け入れられます。
主人であるローソク足が気まぐれに動いてしまったので、インジケーターが期待通りに機能しなかったんだね、という具合です。
その気まぐれなローソク足の動きをいかに捉えるかが、腕の見せ所です。上手に捉えた時が、利食いできる時です。
各種インジケーター【記事一覧】
-
ハイローチャネル(High Low Channel)
2021/11/12
ハイローチャネル(High Low Channel)とは、トレンド系でもオシレーター系でも使えるインジケーターです。 そこで、その見方や使い方を確認しましょう。 ハイローチャネルのチャート ハイローチ ...