FX会社の選び方-初心者向け
FX会社の【今と昔】幕開けは1998年
FXを巡る歴史を振り返りながら、FX会社の選び方を確認しましょう。今の基準だけでなく過去の基準を知ると、より良い選択ができるかもしれません。
新しい投資の幕開け
個人向けFXの始まりは、1998年でした。
それまで銀行等にしか認められていなかった通貨の交換ですが、個人が銀行以外の業者を通じて、安い手数料で売買可能になったのです。
当時、オーストラリアなど資源国の政策金利が高水準だったので、スワップポイント目的でFXを始めた個人投資家も大勢いたようです。
しかも、2000年代初めから後半にかけて相場は上昇基調。為替差益まで手にしましたので、より多くの個人投資家に注目されました。
中・長期投資が主流
スワップポイントを狙ったトレード手法は、投資期間が数ヶ月~数年です。
したがって、FX会社の選び方は「スワップポイントが高い会社を選ぶ」であり、FX会社も豪ドル・NZドル・南アフリカランドなど、資源国通貨を中心に高いスワップポイントを出す例が数多くありました。
流れは短期売買へ
スワップポイント益を狙った長期投資の手法は、2008年のリーマンショックあたりを境に影を潜めだしました。米ドル/円などのスワップポイントが階段を転げ落ちるように下がり、為替相場も乱高下を繰り返し下落相場に。
こうした荒れ相場によって、FXのトレード手法は、徐々にデイトレードやスキャルピングといった短期売買に注目が向かいました。
短期売買では、スプレッドが重要です。FX会社選びの基準は、それまでのスワップポイントからスプレッドへ移行していきます。
FX業者の再編
ここで、次の問題が持ち上がりました。レバレッジです(今では考えられませんが、当時は100倍のレバレッジ取引が可能でした)。
レバレッジ規制が始まると、リーマンショック後だったという時期も重なり、体力が不十分なFX会社は経営が難しくなり、FX会社の淘汰が始まりました。
2009年8月の法改正により、最大レバレッジは50倍に規制され、2011年8月には一律25倍となりました。
FXは手数料が安く(無料がほとんど)、個人投資家にとってのメリットは大きいのですが、スプレッドがFX会社の収益の源泉ですから、薄利多売のビジネスモデルです。
その薄利の収益構造にダメージを与えたのが、レバレッジ規制です。FX会社は経営基盤を整えるべく、身売り等が展開されました。
熾烈なスプレッド競争
こうして、現在のようにガチガチに規制されると、FX会社は他社との明確な差別化が難しくなりました。
そこで、投資家のトレードスタイルがデイトレードなど短期売買に移行している流れを受けて、スプレッド縮小化で差別化を進めました。
2020年代に入っても、スプレッドを縮小して固定したり、低スプレッドキャンペーンを打ったりと、その競争は過熱しています。まさに、体力勝負といった感じです。
FX会社の何を比較するか
個人投資家が好むトレード手法として、デイトレードが主流になっているようです(低金利でスワップポイントが小さくなっていますし)。
それに伴い、FX会社が提供する機能も、デイトレード向けに進化しました。
こうした変化によって、FX初心者のFX会社の選び方も、変化してきました。
FX初心者がFX会社を選ぶ際に、何を基準すればいいのかをピックアップしてみます。視点はたくさんあるので、最初に「これは比較しなくてOK」という項目から。
ほとんど、あるいは全く差別化できない条件
- レバレッジ
- 取引手数料
- 資産の保全
レバレッジ
従来、「レバレッジは何倍まで可か」というのが基準の一つでしたが、現在は最大25倍です。どのFX会社を利用しても差がありません。
取引手数料
裁量トレードに関し、現在はほとんどの会社が、取引手数料無料です。リピート系注文などでは、手数料が必要な例もあります。
資産の保全
現在は、FX会社が経営破綻しても、信託保全で保護されます。しかし、非合法の会社などにお金を預けてしまうと、殆ど返金されない可能性があります。金融庁に登録された合法なFX会社を選びます。
FX会社によって違いが出る部分
次に、FX会社によって異なる部分を見ていきましょう。これをすべてチェックすべきというわけでなく、自分が重要だと思う項目だけで十分です。
どうでもいいや、という部分について比較しても、あまり意味はなさそうですから。ここでご案内する項目は、以下の通りです。
- スプレッド
- スワップポイント
- 1,000通貨以下から取引できるか
- スキャルピングできるか
- 各種キャンペーン
- 取引可能な通貨ペア
- 取引ツールの使いやすさ
スプレッド
スプレッドは、デイトレードなどで重要な項目です。しかし、主要通貨ペアでは、FX会社間の差がほとんどありません。
例えば、米ドル/円のスプレッド競争最前線は0.2銭ですが、0.3銭のFX会社を選んだとしても、損益に与える差は誤差でしょう。
それよりも、自分のトレード手法を適切に使って利食いできるか?といった項目の方が、断然重要です。
よって、スプレッドで比較する場合は、米ドル/円でなく、カナダドル/円やポンド/米ドルなどで比較することになりそうです。
あるいは、トルコリラ/円などの新興国通貨ペアも、米ドル/円などと比べればFX会社間の差が出やすい傾向があります。
スワップポイント
スワップポイントの比較は、スプレッドよりも難しいです。なぜなら、スワップポイントの数字は毎日変化するからです。また、キャンペーンで数字が大きくなることもあり、いったいどのFX会社が最良なのか、簡単には分かりません。
この場合は、「業界最高水準」と広報しているFX会社から選ぶと分かりやすいです。
業界最高水準でないFX会社は、スワップポイントの大きさについて特段の宣伝をしていません。「スワップポイントの大きさを誇っているか、それともスルーしているか」で、ある程度の判断が可能です。
1,000通貨以下から取引できるか
1万通貨から取引可能という場合、100銭の値幅で損切りしたら10,000円の損となります。一方、1,000通貨なら1,000円ですみます。
大きな数量で売買するのは、FXで資産を増やせるようになってからでも遅くありません。それよりも、まだ不慣れなうちは、大損で退場してしまうリスクを小さく抑えることが大切です。
この意味で、1,000通貨から取引可能かどうかも、重要なチェック項目になります。
スキャルピングできるか
一般的に、スキャルピングは禁止されています。
FX会社の取引システムに過度の負担を与えてしまうからです。禁止されているFX会社でスキャルピングをすると、口座を凍結される可能性があります。
すなわち、そのFX会社での取引を、永遠に禁止されてしまいます。
それは面白くありません。スキャルピングをしたいなら、「スキャルピングOK!」と明示しているFX会社で取引しましょう。
各種キャンペーン
FXをする理由は、自分の資産を増やすためでしょう。それ以外ないと言っても過言でないかもしれませんが、もう一つ、「楽しみたい」というのもあるかもしれません。
この場合、各種キャンペーンを調べてみると、面白いかもしれません。
キャンペーンですから、短期間で終わってしまう場合もあります。しかし、色々なキャンペーンを連発してくれるFX会社もあります。
資産を増やすこと以外の楽しみ方、と言えるでしょう。
取引可能な通貨ペア
米ドル/円やポンド/円など主要通貨ペアは、どのFX会社でも売買可能です。しかし、少々マイナーな通貨ペアになると、取引できたりできなかったりします。
そこで、自分が取引したい通貨ペアを売買できるか?をチェックする必要があります。この項目は、マイナー通貨ペアも取引したいという方向けの選び方です。
取引ツールの使いやすさ
そして、見逃せないのがツールの使いやすさです。使いづらいツールを使っていると、常にストレスを抱えながら取引することになります。
小さなストレスかもしれませんが、「ずっと」というのが嫌です。トレード判断にも変な影響が出るかもしれません。使いやすいのが一番です。
ところが、これも厄介です。実際に使ってみないと、使いやすいかどうか分からないからです。
日本のFX会社はとても優秀で、ユーザーが心地よく使えるような工夫で溢れています。しかし、大勢に良くても、「自分に合っているかどうか」は実際に使ってみないと分かりません。
これへの対処法は、「実際に口座を作って触ってみる」です。取引しなくても、触るだけでOKです。そこで「何か嫌だ」と思えば、取引しないで放置します。
放置していても、口座維持手数料を取られるのは稀です(ごくたまに必要な場合もあります。その場合は、残高を0円にしておけばOKです。請求されたり、残高がマイナスになったりしません)。
上の項目を満たすFX会社
上の比較項目は、全部で7つもあります。全て完璧に条件を満たすのは困難ですが、該当しそうなFX会社が一つあります。ヒロセ通商です。
- 業界最狭水準のスプレッド
- 業界最高水準のスワップポイント
- 1,000通貨から取引可能
- スキャルピングOK
- 毎月、多彩なキャンペーン
- 取引可能通貨ペアは50種類
- 顧客の意見を導入してツールを改善
特に、スキャルピングOKのFX会社は数が少ないです。狭いスプレッドとスキャルピングOKの両方を同時に得たい場合、ヒロセ通商が候補になります。
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