取引コストってどのくらい?トレードの損益に直結する諸々の事項
スプレッドとは、通貨ペアを取引するときの価格差を言います。例えば、あるときの米ドル/円の為替レートが、以下の通りだったとしましょう。
- 買い(ask):100.500円
- 売り(bid):100.497円
この場合、買値と売値の差額であるスプレッドは、0.3銭(または0.3pips)です。私たちが買うとき、100.500円で買います。売るときは、100.497円で売ります。高い方の価格で買い、安い方の価格で売ります。
この差額は、事実上の取引手数料になります。
なお、上の差は小さく見えますが、これは「1通貨を売買する場合」です。1万通貨を取引する場合、手数料は1万倍になります。
また、スプレッドはコストの一つですが、「提示率」「約定率」「スリッページ」といった、取引に直接関与する項目もFX会社で異なる場合がありますので、確認していきましょう。
取引コストは少しでも小さい方が良い
最初に、上の例で売買手数料を計算してみましょう。
- スプレッド:0.3銭(=0.003円)
- 取引数量:10,000通貨
- 取引手数料:0円
- 取引コスト:0.003(円)×10,000(通貨)=30(円)
以上から、30円が事実上の売買手数料です。
1万通貨売買しても、手数料はとても小さいです。ただし、繰り返し売買します。そこで、スプレッドは少しでも小さいほうが望ましいです。
スプレッドは常に一定というわけでない
なお、FX会社が公開しているスプレッドは、24時間いつでも固定というわけではありません。例えば、以下の場合、スプレッドが広くなりやすいです。
- 日本の早朝時間帯
- 重要な経済指標が発表されたとき
- 世の中がアッと驚くイベントが発生したとき
なぜ広くなるか?ですが、FXの仕組みを確認すると分かりやすいです。
FX会社は、適当に為替レートを決めているのではなく、インターバンク市場(銀行間市場)から情報をもらい、それを元にして顧客に配信しています。
よって、インターバンク市場から配信されるスプレッドが広くなれば、FX会社も広くして顧客に配信します。
日本時間の早朝は、取引参加者が少ないです。すなわち、取引が活発でないので、スプレッドが広がりがちになります。
また、重要な経済指標発表時は、相場が少々混乱気味になります。すると、インターバンク市場参加者は、自分の安全を確保しながら取引したいと考えるでしょう。
すると、取引相手にいつもより少し高く売ったり、逆に、取引相手から安く買ったりしようとします。すなわち、スプレッドが広がります。
原則固定・例外あり
そこで、FX会社は固定スプレッドを提示するにあたり、「原則固定・例外あり」という表記を同時に出しています。
とはいえ、私たちとしては、どの時間帯ならば固定スプレッドで取引できるか、おおよその時間帯を知りたいです。そこで、FX会社は固定スプレッドの時間帯も公開しています。
概ね、午前8時頃~翌日午前3時ごろまでが、固定スプレッドの適用時間帯になります。
すなわち、それ以外の早朝時間帯は、固定スプレッドが適用されませんので注意が必要です。
公開スプレッドの提示率
では、上の状況は全てのFX会社で同様なのか?ですが、そうでもありません。
公開しているスプレッドの数字が広がりやすいFX会社もあれば、そうでないFX会社もあります。
この差を確認する指標として、「提示率(ていじりつ)」があります。提示率が高いと、公開されているスプレッドで取引しやすいです。すなわち、スプレッドの数字を信頼できます。
提示率が低い場合、いつスプレッドが広がるか分からないので、少々不安になります。
下は、ヒロセ通商の実績です。100%に限りなく近い数字ですし、業界最狭水準のスプレッドですから、安心して取引できます。
ヒロセ通商の提示率を下にご案内します(2019年11月1日~2019年11月29日の実績)。
通貨ペア | 提示率 |
---|---|
米ドル/円 | 99.40% |
ユーロ/円 | 99.65% |
ポンド/円 | 99.66% |
豪ドル/円 | 99.67% |
NZドル/円 | 99.49% |
ユーロ/米ドル | 99.30% |
ポンド/米ドル | 99.43% |
ヒロセ通商は、スキャルピングをOKのFX会社です。スキャルピングOKというのは、日本では珍しいです。
スキャルピングで成功するには、狭いスプレッドが重要。提示率が極めて高いですし、ヒロセ通商が有力な候補になるでしょう。
約定率
さらに、あわせて確認したいのが、約定率です。スプレッドが狭く、提示率が高くても、約定拒否になっては意味がありません。
約定拒否
スリッページ
もう一つ、確認したい数字があります。スリッページです。
スリッページとは
スリッページとは、取引画面に表示された為替レートと異なる数字で注文が約定してしまうことをいいます。これはFXの仕組み上、避けて通れません。
FX会社は、インターバンク市場からデータをもらい、それを元に為替レートを配信します。そして、顧客はその数字を見て注文します。
インターネット回線でつながっていますが、情報のやり取りは0.000秒でできるわけではありません。ほんのわずかでしょうが、時間がかかります。
顧客の注文がFX会社で処理されるまでのごくわずかな時間に、為替レートが変わってしまう場合があります。そして、取引は、変わった後の数字で実行されます。これが、スリッページです。
スリッページも、できればない方が良いです。
米ドル/円に関し、ヒロセ通商の公開データによると以下の通りです(調査日:2019年12月16日~2019年12月17日)。
- 公表スプレッド :0.2銭
- スリッページ発生率:1.6%
- 実質スプレッド :0.199銭
ごくわずかな確率で、スリッページが発生しています。しかし、顧客有利なスリッページもあります。
結果として、公開スプレッドが0.2銭に対して、実質スプレッド(スリッページ反映後)は0.199銭となっています。こういった、顧客有利なスリッページなら、大歓迎です。
今回、ヒロセ通商を例に採りましたが、以下の通りです。有利に取引できます。
- スプレッドが業界最狭水準
- 提示率が高い
- 約定率も高い
- スリッページの状況も優秀
許容スリッページ
ユーザーとしては、スプレッドや提示率をそのまま受け入れるしかありません。
FX会社は、インターバンク市場の数字を使って顧客に配信しますので、その数字で良ければ取引する、気に入らなければ取引しないということになります。
これらと比較しますと、スリッページは少々厄介です。
と言いますのは、スプレッドが広い・狭いというのは取引前に分かることですが、スリッページがあったかどうかというのは、取引後に分かることだからです。
目視では、「この取引はスリッページが起きるから、注文を止めよう」とできません。
この不便を解消するツールとして、「許容スリッページ」があります。下は、ヒロセ通商のクイック注文画面です。
クイック注文は、取引画面に表示された為替レートで、その場で約定する注文方法です。上の画像の矢印部分に、「許容スリップ」があります。
ここに、例として50pips(=5銭)と書いてあります。この意味は、以下の通りです。
- スリッページが5銭以上になる場合、取引しない。
極端な話、この数字を0にすると、スリッページしない取引のみ成立します。
しかし、スリッページを完全に拒否すると、今取引すべき大チャンスという時にも、取引できない可能性があります。
0.1銭のスリッページを気にして、10銭~100銭の利幅を捨てるのは惜しいです。そこで、バランスを考えて数字を設定します。
ちなみに、ユーザーにとって有利な方向にスリッページする場合は、どれだけスリッページしても約定します。この種のスリッページなら、歓迎です。
スプレッド比較対象通貨ペア
最後に、各社のスプレッドを確認しましょう。
下にあるFX各社のスプレッド一覧は、日本のFX市場で取引数量が多い、以下の5通貨ペアを選んで作成しています。(参照ページ:通貨ペア別 取引金額シェア)
- 米ドル/円【USD/JPY】
- 豪ドル/円【AUD/JPY】
- ポンド/円【GBP/JPY】
- ユーロ/円【EUR/JPY】
- ユーロ/米ドル【EUR/USD】
主要各社のスプレッド表
スプレッドは原則固定(※例外あり)であり、相場状況によって広くなる場合があります。
表中のスプレッドは変動の可能性がありますので、取引を始める際には、各FX会社の公式サイトなどでご確認ください。(更新日:2020年07月30日)