アジア市場は、日本時間で概ね朝9時~夕刻17時くらいの間です。
東京と香港・シンガポールには1時間の時差がありますが、いずれも同じアジア市場という位置づけで捉えられています。
値動きの特徴や、アジア市場に影響を与える経済指標などを確認しましょう。
比較的値動きが穏やかなアジア市場
ニューヨーク市場に比べて、アジア市場のお昼から午後にかけては値動きが小さいことが多いです。
すなわち、レンジ相場になる傾向も。
このため、アジア市場でトレンドを追うトレード手法は難しいかもしれません。レンジ相場を狙って、利益をコツコツと積み上げるトレード方法が適していると予想できます。
小さな利益をコツコツと積み上げる場合も、ストップロスの設定を怠らないように気を付けましょう。
では、午前中はどうか?です。いくつかのトピックがありますので、順に見ていきます。
ゴトー日
アジア市場の午前中にはいくつかの特徴があり、その一つはゴトー日です。
これは、毎月5のつく日と10のつく日(5日、10日、15日…)は、早朝から午前10時ごろにかけて米ドル/円が円安になりやすい、というものです。
これは、日本の商慣習が原因です。
輸出業務をする企業は、毎月5のつく日に、外貨で支払をします。そして、銀行が顧客に提示する為替レートは、午前10時に発表されます。
すると、実需と思惑が交錯します。
実需(輸出企業など)
代金支払いのために、ドルを買う(円安要因)
思惑
銀行は、できるだけ高値で外貨を売りたい(円安要因)
トレーダーは、円安を狙ってトレードしたい(円安要因)
実際にはもっと複雑ですが、単純に見ると、以上の理由から円安になりやすいと言われています。
いつも円安になるというわけではないですが、この特徴を狙ってみるのも面白いかもしれません。
アジア主要国の経済指標発表に注意
また、経済指標発表に伴って、値動きが大きくなることがあります。主な例をいくつか見ていきましょう。
中国の経済指標発表
近年、中国の経済力は、目覚ましい勢いで発展してきました。すると、世界経済への影響力も大きくなりますし、経済指標発表への注目度も高くなります。
そこで、中国で重要な経済指標が発表されると、為替レートが大きく動くことがあります。発表時刻は、日本時間の午前中が多いです。
では、人民元/円(CNH/JPY)の値動きが大きくなるのでしょうか。実際は、違います。
人民元は固定相場制でなく、変動相場制です。しかし、為替レートは中国の中央銀行が一定の範囲で管理しており、経済指標を素直に反映しづらいです。
取引しやすい通貨ペア
そこで、トレード対象として別の通貨ペアが必要になります。ここで選ばれたのが、豪ドル/円です。
なぜ豪ドル/円なのか?ですが、オーストラリアは、中国と経済的な結びつきが強いから。ここで活躍する指標が、TWIです。
TWI
オーストラリアの中央銀行である豪州準備銀行は、TWI(Trade Weight Index)という数字を毎年発表しています。
これは、豪ドルの強さを総合的に判定する際に使われる指標で、オーストラリアと各国間の貿易量・貿易額を基準にしています。
このTWIの内訳を見れば、オーストラリアはどの国と経済的な結びつきが強いか?が分かるというスグレモノ。
内訳推移のグラフは、下の通りです。
2000年代を通じて、青線(人民元)が右肩上がりになっていることが分かります。逆に、赤(円)と緑(米ドル)は低下基調です。
すなわち、オーストラリア経済にとって、中国が最重要!
そこで、中国の景気が良くなれば、オーストラリアも好調になるだろうという連想ができます。逆も同様で、中国が不景気になれば、オーストラリアも不景気になるだろうと予想できます。
この関係を利用して、中国の指標発表時に、豪ドル/円が大きく動くことがあります。
豪雇用統計
日本時間に為替レートが大きく動くと言えば、豪雇用統計も見逃せません。
世界全体で見れば、米雇用統計が最も注目を集めます。しかし、アジア時間でしたら、豪雇用統計も見逃せません。
豪ドルは、自国(オーストラリア)に加えて、中国の経済指標発表でも注目されています。すなわち、アジア時間午前中に、為替レートが大きく動くことがあります。
比較的大きな値動きを狙いたい場合、豪ドルが絡む通貨ペアが狙い目かもしれません。
日本の経済指標発表
以上、アジア市場について、中国とオーストラリアを中心に見てきました。では、日本の経済指標発表はどうでしょう?
日本の経済指標発表では、為替レートは大きく動かない傾向です。その理由は不明ながら、市場が「あっ」と驚くような数字が出ていないことも、理由の一つでしょう。
このため、市場が日本の発表に注目していない間は、日本の発表は特に気にせずトレードできるのがメリットです。
経済指標発表時刻に注意
この記事を総括しますと、「アジア市場は基本的には穏やかだけれど、午前中に大きく動くことがあるから注意」というイメージです。
大きく動くきっかけは、経済指標発表が中心です。このため、主要国での経済指標等の発表時刻を、事前に確認してトレードしましょう。