FXをする目的は、資産の成長です。短期間で大きく資金を増やしたいと思う場合、スキャルピングが候補になります。
スキャルピングとは、取引開始から終了までの時間が、数秒~10分程度未満の取引を指します。とても短期間です。
しかし、実際にスキャルピングを始める前に、重要な注意事項があります。それは、自分が取引しているFX会社は、スキャルピングOKでしょうか、それともNGでしょうか。
スキャルピングOK?それともNG?
スキャルピングをしてもいいですよ、と公開しているFX会社は、とても少ないです。以下、まとめました。
スキャルピングOKのFX会社の例
・JFX
・ヒロセ通商
・セントラル短資FX
・FXプライムbyGMO
スキャルピングは禁止ではない
・マネーパートナーズ
・OANDA
スキャルピングNGのFX会社
・上記以外の大半の会社
3つを順に確認します。
スキャルピングOKのFX会社
ほとんどのFX会社は、スキャルピングを認めていません。そこで、スキャルピングOKのFX会社は、積極的に広報する傾向があります。
下は、各社の画像です。どこまで強く広報するかというのは各社によって異なりますが、いずれもスキャルピングOKの旨を明示しています。
スキャルピングをしたい場合、このように広報しているFX会社で取引します。
ヒロセ通商
JFX
セントラル短資FX
FXプライムbyGMO
上の4つのFX会社では、スキャルピングが自由にできます。「禁止されているかも」と不安を感じる必要がありませんので、メリットが大きいです。
次のカテゴリに移りましょう。
「スキャルピングを禁止してはいない」の意味
スキャルピングOKまたはNGというのは分かりやすいですが、マネーパートナーズとOANDA(オアンダ)は、スキャルピングを禁止していないという立場です。
少々分かりづらいので、OANDAホームページから該当部分を引用します。
OANDA
(一部抜粋)
禁止ではございませんが、弊社にてお客様の取引手法に問題があると判断した場合や弊社のカバー先がお客様の取引のカバーを継続することが難しいと判断した場合には、お取引をご遠慮いただく場合がございます。
基本的にスキャルピングをしても良いけれど、場合によっては控えてもらいますからご注意ください、という内容です。
マネーパートナーズ
マネーパートナーズについては、当サイト編集部が直接確認しました。
積極的に広報していないが、ソフトウェア等を別途使った自動売買などでないなら、実行可能とのことでした。
ホームページには「当社の正常な業務執行に支障を生ずるような取引をされていると判断したお客様に対し、事前通告なく取引を制限させていただく場合がございます。」とありますので、一般的な範囲内のスキャルピングはOKという理解で大丈夫そうです。
カバー取引とは
ここで、スキャルピングOKか禁止かを考えるうえで、FX会社の立場に立って考えてみます。
FX会社は、顧客にたくさん取引してもらうことにより、手数料収入を得ています(事実上の手数料は、スプレッドに含まれています)。
よって、スキャルピングを積極的に歓迎する方が、会社にとって良いはずです。しかし、禁止する方が圧倒的に多いです。その理由は、カバー取引にあります。
取引例を参考に、カバー取引を確認しましょう。
取引例
・ある顧客が、米ドル/円を10万通貨買った。
顧客はFX会社から買っていますから、FX会社は10万通貨の売りポジションを持っているということになります。
その後、円高になれば、顧客は損しますがFX会社は利益になります。逆に、円安になれば、顧客はうれしいですがFX会社は損になります。
為替レートが上昇するか下落するか、それは事前に分かりませんから、FX会社の経営は安定しなくなってしまいます。そこで登場するのが、カバー取引です。
取引例
・ある顧客が、米ドル/円を10万通貨買った。
・FX会社は、別の金融機関から10万通貨買う(カバー取引)。
FX会社は、顧客に10万通貨売りましたので、別の金融機関から10万通貨買います。こうすれば、保有ポジションは差し引きゼロになります。
相場が上がっても下がっても、収益に影響はありません。これがカバー取引です。
カバー取引をすると、その分だけ他の金融機関に支払うコストが出てしまいますが、ポジションを持って不安定な状態のままでいたくないという判断です。
FX会社としては、顧客にどんどんスキャルピングして欲しいです。しかし、カバー取引ができなければ、期待通りにポジションを相殺できず、不安定になります。
そこで、オアンダはカバー取引が難しくなったらスキャルピングを控えてもらいます、という内容を公開しています。
ということは、スキャルピングOKと明示している会社は、多数の顧客がスキャルピングをしても対応できるということです。大変な設備投資をしていることの証明でもあります。
スキャルピングNGのFX会社
多くのFX会社は、これに該当します。ただし、「スキャルピングはNGです」「スキャルピングは禁止です」とホームページに書いているFX会社は、なかなか見つからないです。
少なくとも筆者は、この表記に出会ったことがありません。
スキャルピングはNGだがそのように書いていない理由は、いくつかあるでしょう。スキャルピングとは何か?という定義づけが難しいのが、理由の一つでしょう。
そこで、FX業界の大手2社について、約款を確認しました。
DMMFXの約款
第 7 条 (禁止事項)
1 お客様は、お客様が次の各号に定める行為を行ってはならないことに予め承諾することとします。
(5) 取引の如何に関わらず本取引システム又は本取引システムの運用に対して過大に負荷を強いる行為
(9) 短時間での注文を繰り返し行う行為
GMOクリック証券の約款
第32条(本取引・本サービスの利用禁止・解約)
…過度の回転売買等不適切な取引であると当社が判断した場合、その他やむを得ない事由が生じたものと当社が判断した場合は、当社は直ちにお客様に本取引の新規取引及び 本サービスを禁止することができる(以下略)
その他のFX会社の記述も併せて読みますと、取引システムに過度な負荷を与える高回転取引はNGですよ、という内容になります。
ただし、デイトレードで取引していたら、たまたまスキャルピング風な取引になる場合があります。
例えば、デイトレードで米ドル/円を買った直後、何らかの理由でいきなり急騰して利食い成功、といった具合です。
これは正確にはスキャルピングになるでしょうが、約款違反を心配する必要はないでしょう。将来の為替レートがどうなるのか、事前に確実に把握することはできませんから、そういうこともあります。
スキャルピングを繰り返し行うと、約款違反になる可能性があります。
口座の凍結
では、スキャルピングNGのFX会社でスキャルピングを繰り返すと、どうなるでしょう。口座が凍結されます。
凍結とは、そのFX会社での取引が禁止される状態です。
口座が凍結されると、その旨の通知がメールで届きます。口座凍結の理由を尋ねても、具体的な回答を得るのは難しいでしょう。約款違反で凍結します、という内容だけです。
仕方ないので、自己資金を他社に移動して取引再開です。
なお、口座凍結になっても、他のFX会社で取引できますから問題ないかもしれませんが、以下の場合に残念な思いをすることになります。
- 新規キャンペーンが魅力的でも、取引できない
- 他社にない通貨ペアが新規採用されても、取引できない
- 他社にない新機能が搭載されても、取引できない
口座凍結で得られるメリットは何もないので、スキャルピングOKと明示しているFX会社でスキャルピングすることが大切です。